「不妊症」 は女性にばかり原因があるように思われがちですが、実はそうではなく男性に原因がある場合もあります。
妊娠するには、男性の精子と女性の卵子が必要となってきますが、男性に不妊原因があったとしても不思議なことでありません。
精液検査とはその名の通り、男性の精子の状態を調べる検査です。
精子は体外に射精されますので、女性と比べるとその検査は至ってシンプルで、肉体的な苦痛は皆無と言っていいでしょう。
この精液検査には、一般精液検査と呼ばれるものと、さらに詳しく調べる特殊な精液検査の2つに分類されます。
棒状の「プローベ」を膣内に入れて検査します。
経膣超音波は、膣の中にプロ-プ(超音波を送受信する装置)を入れて観察する方式です。
精液量 | 2ml以上 |
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精子濃度 | 1ml中に2000万個以上 |
精子運動率 | 前進運動精子50%以上、または高速直進運動精子25%以上 |
正常形態精子 | 30%以上 |
生存率 | 50%以上 |
白血球 | 1ml中に100万個未満 |
WHOの精液所見の分類
1.乏精子症は、精子濃度2000万未満
2. 精子無力症では、運動率50%未満、
3. 奇形精子症では、正常形態精子30%未満、
4. 無精子症では、精液中に精子が存在しない場合、
「無精液症では、精液が射精されない」 といった形で分類されています。
一般精液検査で問題があったときなどに以下のような検査が行なわれます。
アクロビーズテスト | 精子は射精された直後から受精が可能になるわけではなく、 子宮や卵管の移動中に「先体反応」が起こり、受精の準備が 整います。この検査で、精子先体に「先体反応」が起こるかを調べる検査です。 |
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精子膨化試験 | 精子に低浸透圧負荷をかけることで、精子の尻尾の部分に 見られる膨化の程度を観察する方法です。 この検査後に、精子尾部全体が大きく膨化しているものほど 細胞膜が無傷で精子機能が良好だと考えられています。 |
精子生存試験 | 培養液中の精子が「どれだけ長い時間元気でいられるか?」 を調べる検査です。 36時間以上「運動能力」に低下が見られなければ(陽性)、 自然妊娠が十分に可能だと考えられています。 |
ハムスターテスト | ハムスターの卵子に人間の精子が侵入していくかを調べる 検査で、この検査により、精子の受精能を調べることができ ます。 数ある特殊な精液検査の中でも最も受精能に反映 すると考えられています。 |
抗精子抗体検査 | 抗精子抗体検査は、女性の精子アレルギーが原因とされているもので子宮頸管粘液(自己抗体)で、精子と抗体が結びつくと精子の受精能力や運動能力を停止させてしまいます。 この検査で、受精の過程に問題があるかを調べます。 |
FSH(卵胞刺激ホルモン)は、下垂体から分泌しているホルモンで、精巣に精子を作りなさいという命令を出します。
FSH(卵胞刺激ホルモン)の値が正常よりもかなり高い場合、下垂体からは精巣に大量の精子を作りなさいという命令が出ていますが、精巣などに障害があり、精子の産生能力が低いということを意味しています。
精液の検査は、自宅で採取した精液を2~3時間以内に病院に持参することも可能ですし、
病院内に採精室があり、当日に男性が来院して精液検査をすることもできます。
精液は、マスターベーションによって専用の容器に全量を採取します。
自宅採取を行う場合の注意点としては、採取した精液は温度の影響を非常に受けますので、病院に持参する場合は、検体の温度が下がらないようにする注意が必要です。
精子は体温より少し低い31~33度ぐらいが1番運動率が高いと言われていますので、
タオルなどでくるんだり、下着に挟み込んだりして運ぶのがよいとされています。
精液検査は、1度だけすればよいというものではなく、男性の体調などの影響を大きく受けますので、結果にかかわらず何度か検査することをお勧めいたします。
一度結果が悪かったからと言って、必ずしも男性不妊であるとは限りませんので、医師の指示に従って、検査するようにしましょう。