卵巣のはたらきが衰えて女性ホルモンの分泌量が減ると、心身にさまざまな不調が出てきます。
女性ホルモン検査は、血液中の卵巣ホルモンと下垂体の卵巣刺激ホルモンの値を調べることで、卵巣の機能をチェックします。
ホルモン値の検査は、尿や血液を採取してその中にどれくらいホルモンが含まれているのかを測定しますが、女性のホルモン値は月経周期によって、
その値が大きく変動することから、低温期、排卵期、高温期のそれぞれの時期に測定することが多いようです。
それぞれの基準値は以下の通りです。
各周期 | 低温期の初期 (卵胞期) |
排卵期 | 高温期 (黄体期) |
妊娠時 |
---|---|---|---|---|
卵胞ホルモン(E2) | 60 【pg/ml】 |
150~500 【pg/ml】 |
100~300 【pg/ml】 |
- |
黄体ホルモン(P) | 1.0 以下 【ng/ml】 |
1.0 以下 【ng/ml】 |
10~20 【ng/ml】 |
- |
卵胞刺激ホルモン(FSH) | 4.0~10.0 【mIU/ml】 |
16.0~23.0 【mIU/ml】 |
4.0~7.0 【mIU/ml】 |
1.0 以下 【mIU/ml】 |
黄体刺激ホルモン(LH) | 1.2 以下 【ng/ml】 |
10.0~50.0 【ng/ml】 |
1.0~3.0 【ng/ml】 |
0.2 以下 【mIU/ml】 |
乳汁分泌ホルモン(PRL) | 6.1~ 30.5 【ng/ml】 |
100~300 【ng/ml】 |
エストロゲンは卵胞から分泌されるホルモンで、子宮に対して、子宮内膜を厚くするように
指令します。 このホルモンの分泌量が十分でないと、子宮内膜が厚くならなかったり、
頚管粘液が少なくなったりします。
排卵後の卵胞は黄体へと変化し、そこから黄体ホルモンが分泌されます。
このホルモンは、受精卵が着床しやすいように、子宮内膜を整える指令を出します。
妊娠していた場合には、このプロゲステロンが分泌され続けることで妊娠を維持することができます。 このホルモンの分泌量が十分でないと、着床障害などが起こりやすくなります。
FSHは脳下垂体から分泌されるホルモンで卵巣に働きかけて卵胞を大きくするように指令します。このホルモンの分泌量が十分でないと、卵胞がうまく育ちません。
LHは脳下垂体から分泌されるホルモンで、卵巣に働きかけて、排卵を起こすように指令します。
LHの分泌量がピークに達すると、おおよそ15~40時間後に排卵が起きます。
尿中のホルモン値を測定することによって、排卵日を予測することもできます。
血液中のプロラクチン値を測定することで、高プロラクチン血症の有無を調べたりします。
このプロラクチンは通常、出産後に分泌されるホルモンで、母乳の分泌を促す働きがあります。
ただし、何らかの原因で、出産していないにもかかわらず、このプロラクチンの数値が上昇してしまう
場合があります。プロラクチンの数値が高いと妊娠しにくくなりますので、カバサールなどの薬を使って、プロラクチンの数値を低下させる必要があります。